介護サービスを受けるために必要な手続き

介護サービスを受けるためには、どのような手続きが必要なのでしょうか

介護保険を使ったサービスを受けるには地域の役所に申請して介護認定(調査)を受け、要介護度にしたがった介護サービス計画(ケアプラン)をケアマネージャーに作成してもらった上で、それに見合った介護サービスを提供する事業者を選んで契約すれば利用することができます。

1 要介護認定の申請

介護が必要になり、介護サービスを利用するには、手続きが必要です。まず、介護が必要な人がどの程度の介護が必要なのかその度合を知るために、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定は役所の窓口や地域包括支援センターなどを通して申請します。

2 要介護の調査

申請をした場合には介護が必要な人の自宅に調査員が派遣されます。調査員は本人の身体の状態や、日常生活の様子、暮らしの環境などについて調査を行います。調査は介護が必要な本人だけでなく、同居している家族がいる場合には家族からも話を聞きとります。

3 介護判定

これらの調査をもとにして介護が必要かどうかが審査されます。
判定は一次判定と二次判定があります。

一次判定では、調査員の調査を基にして全国的な規準により判定を行います。
二次判定では専門的な知識をもつメンバーから成る介護認定委員会が判定をします。一次判定だけではなくて、主治医の意見書なども参考にして最終的な判定が行われます。
判定は大きく分けて8つの段階に分けられます。

4 介護給付の対象

要介護

最も手厚い介護が必要だと判定された場合には要介護5の判定がされます。
以下、要介護4から要介護1までの判定がそれぞれあります。
要介護5から要介護1までの判定を受けた人が介護給付を受けて介護サービスを利用することができます。

要支援

一方で要介護1と判定されなかった人でも要支援の判定を受けることができる場合があります。要支援の判定は介護給付が必要ではないと判定されたものの、何らかの支援が必要だと判断された場合に下されます。
要支援の判定には要支援1と要支援2の2種類の段階があります。このうちより多くの支援が必要であると判定された場合は要支援2に判定されます。
要支援の判定を受けた人は介護給付を受けることはできませんが、予防給付を受けて介護予防サービスを利用することができます。要支援1にも判定されなかった人は自立と判定されて、給付を受けることはできません。

5 介護給付の手続き(ケアプランの作成)

 要介護5から要介護1までの判定を受けた人が介護サービスを受ける場合には、まず介護サービス計画書(ケアプラン)を作成する必要があります。介護サービス計画書の作成は指定居宅介護支援事業者に依頼して作成してもらいます。
住んでいる地域の周辺にどのような指定居宅介護支援事業者がいるのかは、行政の窓口や地域包括支援センターで情報を入手できます。
事業者を選んで依頼した後は事業者が派遣するケアマネジャーと実際にどのような介護が必要なのかについて詳しく話し合います。このようにして作成された介護サービス計画書をもとにして、実際に介護サービスを行う事業者と契約をします。契約をした事業者により介護サービスを受けられます。

6 要支援の場合の手続き

一方で要支援の判定を受けた人が介護予防サービスを利用する場合には、介護予防給付の窓口となっている地域包括センターに相談する必要があります。地域包括センターではどのような介護予防サービスの利用が必要かについて介護予防サービス計画を作成してもらえます。

このとき一定の目標が設定されます。この計画を基にして実際に予防サービスを提供してくれる介護サービスの会社と契約をします。その後サービスの利用が始まりますが、数ヶ月ごとに計画で設定された目標が達成されているかどうかがチェックされます。

受けられる介護サービスの種類

受けることが可能な介護サービスにはどのようなものがあるのでしょうか

大きくは自宅に居住して利用するものと施設に居住して利用するサービスに分かれています。その中でも要介護度や状況によって様々な介護サービスがあるので、担当のケアマネージャーとよく相談されてから決められることをお奨めします。

介護保険を利用して自宅で受けられるサービス

①自宅に訪問してくれるサービス

訪問介護(要介護1〜5)
ホームヘルパーが自宅を訪問して食事、入浴、排泄などの身体介護や、お部屋の掃除、洗濯、調理などの生活援助を行います。

訪問リハビリテーション
医師の指導に基づいて理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、日常生活動作の訓練や介助方法の指導を行います。

訪問看護

医師の指示に基づいて看護師や保健師などが自宅を訪問し、病状の観察や医療的な処置、療養上の世話や診察の補助を行います。

居宅管理指導

医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、保健師などが自宅を訪問して、療養上の管理や指導を行います。

②自宅で生活しながら日帰りで通うサービス

通所介護(デイサービス)

デイサービスセンター等に通い、入浴や食事、日常生活の世話、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けられます。自宅玄関までの送迎もあり、一人では外出が難しい方でも利用できます。

通所リハビリテーション(デイケア)

老人保健施設、医療機関に通い、理学療法士や作業療法士等によるリハビリを中心としたサービスのほか、自宅玄関までの送迎、食事、入浴などのサービスも受けられます。

③自宅で生活しながら、短期入所するサービス

短期入所生活介護(ショートステイ)

ショートステイとは、在宅で介護にあたっているご家族の身体的・精神的負担の軽減、またご家族が病気や冠婚葬祭、仕事、旅行などで一時的に介護ができない場合などに、ご家族に代わって施設で介護を受けるサービスです。

短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

介護老人保健施設などに短期間入所し、医学的な管理のもとで医療や日常生活の介護、機能訓練を行います。

④「通い」「泊まり」「訪問」を組み合わせて利用するサービス

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練を行います。24時間365日地域で要介護者を支えるコミュニティとして、その役割が期待されています。

⑤自宅で受けられるその他のサービス

福祉用具貸与

日常動作を助けたり、機能訓練をしたりするための福祉用具をレンタルすることができます。月額のレンタル料の1割が自己負担となります。

福祉用具購入

排泄や入浴に必要な福祉用具を購入した場合に、購入費の9割分が支給されます。
(購入費の限度額は年間10万円で、支払い金額の上限は9万円です)

訪問入浴

訪問入浴介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の身体の清潔の保持、心身機能の維持回復を図り、利用者の生活機能の維持又は向上を目指して実施されます。看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行います。

住宅改修

手すりの取り付け、段差の解消など指定された住宅改修工事代金の9割が支給されます。
(支払の上限額は20万円で、支給金額の上限は18万円)

介護保険を利用して 施設で受けられるサービス

①特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

社会福祉法人と地方公共団体が運営する施設で、通称「特養」と呼ばれている施設です。要介護3以上の方が入居できますが、入居待ちの方が全国で約42万人とも言われ、数ヶ月から数年は待たないと入居できないのが現状のようです。1ヶ月の利用料は所得により異なります。

②老人保健施設

通称「老健」と呼ばれている施設です。入院の治療は必要ではないが、自宅での介護が困難な、要介護1〜5の方が対象となります。医療的管理の下、リハビリを中心と医療サービスと介護サービスが受けられます。基本的に入居期間は3ヶ月のため、長期の入居には対応していないので注意が必要です。

③ケアハウス(軽費老人ホーム)

家庭環境、住宅事情などで自宅において生活することが困難な、60歳以上の人(夫婦の場合はどちらかが60歳以上)を対象とした食事、入浴付きの施設です。身の回りのことは自分で行えることが入居の条件となり、介護が必要になった場合は退去しなければならないのが一般的です。

④グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症と診断された要介護高齢者(※要支援2以上)の方が、5人〜9人の少人数のユニット単位で介護スタッフと共同生活をする住まいです。地域密着型サービスのため、原則としてホームのある市区町村に住民票がある人しか入居できません。

⑤有料老人ホーム

介護付有料老人ホーム

主に介護が必要な人が対象。24時間体制で介護スタッフが常駐し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯などの生活援助をはじめ、健康相談や機能訓練、レクリエーションなどの介護サービスを受けられます。

住宅型有料老人ホーム

介護が必要な人、自立の人の両方が対象。食事等のサービスがついた概ね60歳以上の居住施設です。介護保険の対象ではないため、介護が必要になった場合は、在宅と同じように、介護サービスを外部に依頼し、介護サービスを受けることになります。

⑥サービス付き高齢者向け住宅

国土交通省・厚生労働省共管の「高齢者住まい法」の改正により創設された新しい施設で、介護・医療と連携したサービスを提供するバリアフリー構造の住宅で、高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸等の住まいです。ケアの専門家が日中常駐し、見守りサービスと生活相談サービスが提供されています。

施設の選び方のチェックポイント

介護施設や介護サービスを選ぶにあたってよいところを選ぶ方法を教えて下さい。

介護施設や介護サービスを提供する会社や機関がいっぱいあって、いざ検討しようとしたら、何を基準に判断したらよいのか、よくわからないという人が多いようです。
慌てて決めてしまって、思っていたことと違ったり、様々な負担から転居や変更を余儀なくされる方も少なくありません。
まずは介護の相談窓口等でアドバイスをもらったり、利用者の評判等を調べたり、様々な角度から検討しましょう。

チェックポイント

主治医の意見を聞きましょう

人の体の状態を把握しており、どのような介護サービスがあればいいかわかっていることでしょう。
地域のサービス事業者の情報を聞いてみると、適切な場所を教えてもらうことができるかもしれません。

本人の自立を意識してサービスを考える

本人が自力でできることまでサービスを利用すると、自立への一歩を妨げることにもなりかねません。
自立することのサポートと考え、本当に必要なサービスを見極めることが大事です。

無理なく支払い続けられる費用かどうか?

長期的に続くのが介護です。 サービスが良くても、自分たちの生活が破綻してしまっては元も子もありません。
自分たちが今後無理なく払っていけるのかどうか、きちんと判断しましょう。
介護保険外のサービスを利用するかどうかも長期的なことを考え、決めることが大事です。

通えるかどうか

「緊急時にすぐに到着できるか。」 「家族が面会に行きやすい場所であるか。」 利用する交通手段を考え、訪れる方にとって近隣で通いやすい場所を選びましょう。

介護スタッフの様子を確認する

見学の際には、介護スタッフの動き(すばやく行動できているか)やご利用者への話しかけ方(口調や対応など)もよく見てみましょう。 ご利用者に笑顔がたくさん見られると、施設内の雰囲気も良いものであるといえます。
また、施設内の飾り付け等も参考にしてみてください。スタッフに余裕がないと、そういったところまで手が回らないことが考えられるからです。

衛生管理の確認

清掃がきちんとされているか、匂いがこもったままになっていないかなど衛生管理がきちんとされているかどうかは大事なチェックポイントです。
常習的にほこりがスミにたまっているなど、衛生管理が大雑把なところでは感染リスク等も高く、注意しなければいけません。

いきなり決めずに体験入居

1~2時間見ていいところだからと決めてしまうのは早計かもしれません。
自分にあった、もしくは入居者と相性のいいところを見極めるためには、体験入居で泊まって、じっくり観察するものよい検討方法です。

日頃より準備しておく

急に介護が必要になったとき、施設を決めるのはそのご家族になってしまいます。
離れて暮らしていたりすると意向や様子がわからずに、ご本人が思っていたところと違う介護を受けることになったりします。先々に介護施設の利用を考えている人は、元気なうちから気になる介護施設を自身で見学したり、候補を選んでおきましょう。